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酢酸エチルの分解除去
◆ 研究課題
フィルムシート製造装置の作業環境や工場排気において酢酸エチルの濃度や臭気が問題となっており、その除去方法としてオゾン分解触媒および水中バブリング（擬似アクアオゾン）による除去効果を確認する。
◆ 実験方法
酢酸エチルを三角フラスコに入れ、空気を送り込むことで揮発させ、そこにオゾンを接触反応させた排気サンプルを回収し、酢酸エチルの濃度を測定する。
次に、その排気をオゾン分解触媒に通過させることによる酢酸エチル分解除去を促進する。
加えて、排気を水中バブリングさせ、そのサンプルを回収して酢酸エチルの濃度を測定する。
濃度測定はガス検知管により実施し、濃度差により除去率を評価する。
同時に臭気を官能試験で臭気強度から臭気濃度に換算して脱臭効果を評価する。
酢酸エチル揮発 ＆ オゾン接触による除去実験
オゾン接触 ＆ 分解触媒 ＆ 水中バブリングによる除去実験
◆ 実験結果
| 実験条件 | 酢酸エチル濃度 | 除去率 | 臭気強度 | 臭気濃度 | 脱臭効率 | |
| 酢酸エチル揮発（原臭気） | 1,400ppm | - | 4.5 | 1200倍 | - | |
| オゾン処理 | オゾン 1,000ppm | 1,700ppm | -21% | 4 | 1000倍 | オゾン臭 |
| オゾン 150ppm | 1,080ppm | 23% | 4 | 700倍 | 42% | |
| オゾン 分解触媒 |
オゾンなし | 200ppm | 86% | 3.5 | 450倍 | 63% |
| オゾン 150ppm | 350ppm | 75% | 3 | 250倍 | 79% | |
| 水中での バブリング |
オゾンなし | 840ppm | 40% | 4 | 700倍 | 42% |
| オゾン 150ppm | 1,250ppm | 11% | 4 | 600倍 | 50% | |
| オゾン＋分解触媒＋水中バブリング | 420ppm | 70% | 3 | 200倍 | 83% | |
◆ 結論
オゾンによる酢酸エチル分解では、多くのオゾンを供給しても除去効果は20％程度であり、オゾンのみにより短時間で酢酸エチルを分解除去することは困難です。
ただしオゾン分解触媒を併用した場合には、分解触媒通過により酢酸エチル濃度を80％以上除去することが可能と考えます。
また、水中バブリングによる酢酸エチルの除去では大きな効果は得られないと判断します。
脱臭効果について、傾向としては濃度測定と同じような状況と考えます。オゾンと分解触媒を併用したときの脱臭効率が最も効率的であり、80％の脱臭効率を得ると推測します。
◆ 考察
オゾン分解触媒の併用により酢酸エチルを効率良く除去できることに対して、触媒表面での吸着除去の可能性も否定できないため、除去効果の寿命について課題が残ります。
実験後に分解触媒に空気（オゾンなし）を通過させると、分解触媒から酢酸エチルの臭気が揮発して排出されることを確認しました。
再度分解触媒にオゾンを通過させると酢酸エチルの臭気は脱臭されます。
※ 酢酸エチルの濃度はガス検知管を利用しましたが、オゾンの影響で濃度測定値が高く表示されます。
