岸田「鳥の雛」

私が小学校の頃のお話です。

ある日突然、母が働いていたスーパーの前にある道路に、
『鳥の雛が落ちていた』と近隣の小学生たちが
スーパーのレジまで持ってきたことから、
なぜか母が自宅に持ち帰ることに。
弟の自由研究ついでに育ててみてはと思ったようです。

雛はか弱く、真っ黒な毛並みでした。
私たち家族は色が真っ黒なのでカラスの雛だと思い、
名前は『カンクロウ』と名づけ、
「カンクロウ!カンクロウ!」と声を掛けて可愛がり、
愛情を持って育てました。

そんなカンクロウは大人になり、気が付けば立派な鳩になりました。
まるで『みにくいアヒルの子』のよう。
人もそうですが、鳥も見た目で判断してはいけません。

闇の住人と思いきや幸せの象徴でした。