味とにおいの関係

春には桜味のスイーツがたくさん登場します。
しかし、桜をパクパクと食べたことがある方はいないと思います。
それでは、私たちが「桜味」と認識しているものは何なのでしょうか…。

実は、人が「味」と感じているものの多くは、「におい」であると言われています。
苦手な食べ物を食べる際に、鼻をつまんで食べるという方もいますよね。
今回は「味」と「におい」の関係についてご紹介します。

味覚は口腔内の舌によって食べ物の味を認識しますが、実際に食事をする場合は、嗅覚も影響しています。

においを鼻から嗅ぐ場合、におい成分が鼻を通って脳へと伝わるオルソネーザル経路をたどります。
一方、食事をする際は、口に入れた食べ物のにおい成分が、口腔から鼻へ入ってにおいを感じ、レトロネーザル経路をたどります。

舌で感じる味覚は、甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の5種類が基本となり、さらに、収れん性のある渋味・唐辛子などの辛味などの刺激もあります。
しかし、これだけの種類では、たくさんの味を認識することは難しいですよね。

一方で、人の嗅覚は数十万種類のにおいを嗅ぎわけることができると言われています。
そのため、味覚だけでは判別できない細かい情報を、嗅覚も使って嗅ぎ分けており、
それらを合わせて「味」と認識しているのです。

話は変わりますが、夏に屋台で食べるかき氷の味には、いちご味・メロン味・レモン味など、いくつかありますが、実は全て味は同じものです。もちろんメーカーによってはこだわって作っている場合もありますが、子供の頃に食べたあの味は、全部同じです。

いや、食べ比べたけど味が違ったよ!という方もいると思いますが、いちごの香り・メロンの香り・レモンの香りがそれぞれ付いているため、味が違うと感じていたというのが真実です…。
それではブルーハワイ味はというと、味は同じですが、爽やかな空気を感じるラムネやライムの香りが付いています。

また、においと味のイメージが一致する場合、においによって味が強く感じられる効果があります。
例えばいちご味のシロップを、赤色を濃くした場合と、においを濃くした場合とで比較すると、においを濃くした場合の方が甘みをより強く感じるということが分かっています。

ところで、「桜味」だと思っていた「桜のにおい」ですが、実は、桜は花からは香らない品種がほとんどです。それでは、私たちが桜のにおいと認識している成分は何かというと、葉っぱに多く含まれる「クマリン」という成分です。他の華やかな植物と違って、桜のにおいでその存在に気づくことは少ないと思います。そのため、桜の葉をつぶしたり、塩漬けするなどしてさらに香りを高めて桜のスイーツに利用されていたのですね。

「味」と「におい」の深い関係をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
おいしさを感じるには、においとの関係が切っても切り離せないことを覚えておいてください。